社員ブログ
日増しに朝の空気が深々と冷えてくる。 吐く息はうっすらと白く、外気が肌に触れるとその寒さに思わず体が縮んでしまう。 低い角度から差し込む朝日が辺りを照らし始めると、霜がキラキラと輝く。 霜柱を見つければ喜び勇んで、サクサクと踏みしめていたのはいつの事か。 まだ寒さが本格的ではないけれど、乾いた空気の中、天気の良い日は富士山が朗々と美しい姿を見せている。 富士山が見えると心の中で「わー!」と感嘆の声が上がるが、寒いのは苦手。(ブルブル) 寒がりではあるが、実はここ数年冬の訪れが少し嬉しい。 富士山が美しく見える事も楽しみのひとつではあるが(もう霜柱に喜ぶ歳ではない)、しっかりと気温が下がる頃、 彼がやって来るからだ。 道路脇に長く続く花壇で目を凝らす。 彼か?!と思ったら枯れた枝だったり固まった土だったりする。 毎回同じ失態をするものどうかと思うが、加齢が加速気味でピントが合わせにくいとか、認知・判断機能とか、色々 と仕方がない(笑) 私が密かに探すのは、玉虫の様に美しく輝く深いグリーンの背中に、黒い胸と白い腹部のコントラストが、上等な服 を纏っているように思える彼。 頭には気品を感じる長い冠羽を持つのだから、まるで中世のナイトのようではないか。 彼の名は、タゲリ。【チドリ目チドリ科タゲリ属】 冬鳥として日本に飛来する渡り鳥である。 ミューミューと猫のような鳴き声を発するとか。 私はその声をまだ聴いたことはない。 初めてタゲリをみたのは何年前だろうか。 美しい姿にすっかり魅了され、毎年、気が付けばいつもの場所で彼を探している。 しかし調べればタゲリはバードウォッチャーの間では冬の貴婦人と呼ばれている事が判明。 か、彼は貴婦人だったのか・・・ガーン ・・ちょっとしたショックを受けた。 部屋の中では霜柱にも似た結晶で、ストームグラスが賑やかにお天気を示してくれている。 四季折々、様々な結晶を眺められるのが楽しい。 博物館で買った、私のお気に入りである。 【ストームグラス】 別名:天気管 19世紀のヨーロッパの航海士などに使われた天気予報の道具。 樟脳などいくつかの化学薬品をアルコールに溶かしたもの。 溶解度や結晶形状から天気を予報する。 ダーウィンが乗船したビーグル号や、海底二万マイルに登場する潜水艦ノーチラス号にも搭載されているとか。