社員ブログ

12月 2日 彼を探す朝とストームグラス

日増しに朝の空気が深々と冷えてくる。
吐く息はうっすらと白く、外気が肌に触れるとその寒さに思わず体が縮んでしまう。
低い角度から差し込む朝日が辺りを照らし始めると、霜がキラキラと輝く。
霜柱を見つければ喜び勇んで、サクサクと踏みしめていたのはいつの事か。
まだ寒さが本格的ではないけれど、乾いた空気の中、天気の良い日は富士山が朗々と美しい姿を見せている。
富士山が見えると心の中で「わー!」と感嘆の声が上がるが、寒いのは苦手。(ブルブル)

寒がりではあるが、実はここ数年冬の訪れが少し嬉しい。
富士山が美しく見える事も楽しみのひとつではあるが(もう霜柱に喜ぶ歳ではない)、しっかりと気温が下がる頃、
彼がやって来るからだ。

道路脇に長く続く花壇で目を凝らす。
彼か?!と思ったら枯れた枝だったり固まった土だったりする。
毎回同じ失態をするものどうかと思うが、加齢が加速気味でピントが合わせにくいとか、認知・判断機能とか、色々
と仕方がない(笑)

私が密かに探すのは、玉虫の様に美しく輝く深いグリーンの背中に、黒い胸と白い腹部のコントラストが、上等な服
を纏っているように思える彼。
頭には気品を感じる長い冠羽を持つのだから、まるで中世のナイトのようではないか。

彼の名は、タゲリ。【チドリ目チドリ科タゲリ属】
冬鳥として日本に飛来する渡り鳥である。
ミューミューと猫のような鳴き声を発するとか。
私はその声をまだ聴いたことはない。

初めてタゲリをみたのは何年前だろうか。
美しい姿にすっかり魅了され、毎年、気が付けばいつもの場所で彼を探している。

しかし調べればタゲリはバードウォッチャーの間では冬の貴婦人と呼ばれている事が判明。
か、彼は貴婦人だったのか・・・ガーン
・・ちょっとしたショックを受けた。

部屋の中では霜柱にも似た結晶で、ストームグラスが賑やかにお天気を示してくれている。
四季折々、様々な結晶を眺められるのが楽しい。
博物館で買った、私のお気に入りである。




【ストームグラス】
別名:天気管
19世紀のヨーロッパの航海士などに使われた天気予報の道具。
樟脳などいくつかの化学薬品をアルコールに溶かしたもの。
溶解度や結晶形状から天気を予報する。
ダーウィンが乗船したビーグル号や、海底二万マイルに登場する潜水艦ノーチラス号にも搭載されているとか。

 

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