社員ブログ

10月10日 親不知抜話

「親知らずが隣の歯に向かって生えてますねー。
抜いた方が良いと思いますが、どうされますかー?」

親知らず(おやしらず)とは、大臼歯(大人の奥歯)の中で最も後ろに位置する歯であり、第三大臼歯が正式な名称で、智歯(ちし)とも呼ばれており、要約すると有っても無くても、割とどうでも良い歯なのである。

抜歯を経験した人からは、
「しばらくは何を食べても痛い」
「治療後1週間は顔面がガリガリ君のキャラみたいに腫れた」など、
良くない噂を聞いていたので返事を躊躇ったが、

「麻酔の注射で最初だけチクッとしますけど、効いてからは全然痛くないですよ♪」
という歯科医の言葉を信じ、歯を抜くことにした。

―――翌週―――

歯科医「はい、それでは抜歯の方はじめて行きますねー。イス倒しまーす」
担当医の若干チャラ目の風貌が気になったが、名札には院長と書かれている。
蓄積された知識と熟練の技で難なく抜いてくれる事だろう。

院長「はい、口あけてくださーい」
グサッ

さすがの手際の良さ。こちらが心の準備をする間もなく麻酔を打ちこまれる。
これも恐怖を感じさせない為の配慮だろうか。

院長「麻酔効いてるか確認しますねー、これ痛くないですかー?」
ガチャッッ ガリッ ジャリッ

タオルで視界を奪われた上に麻酔が完全にキマッており、何の感覚もない。

院長「はい、大丈夫ですねー。抜いてきまーす。痛かったら左手上げてくださーい」

ミシッ・・・ミシミシッッ・・・

歯をペンチみたいなもので掴んで、力づくで引っ張られるような感触・・・
目隠しで様子がわからないものの、えげつない抜き方をしているのが感じ取れる。
もう知識とか熟練の技とか関係なく、完全に力で抜きに来ている・・・

ミシッ・・・ミシッ・・・
麻酔が効いているはずなのに、歯茎の奥の方がズキズキと痛い。
あ、これダメなやつだ。
即座に左手を天高く挙げるも、
院長に完全にシカトされ、ぐいぐい奥歯を引っ張られる・・・

ミシッ ミシシッピッ!!・・・
三途の川を渡り始めたその時だった。

敵「はいっ、抜けましたーー」

ホッと肩をなでおろすも束の間、

敵「あっ、歯肉ばさみ持ってきて」

歯肉ばさみ・・・
その字面から伺える、見るからに攻撃力高そうなアイテム。
ドラクエで言えばかなり終盤の方に出てくるような武器・・・
完全にトドメを刺しに来ているようだ。

敵「あーごめん、やっぱいいや」

やっぱいいんかい。

敵「はい、お疲れ様でーす。抜いた歯持ち帰りますか?」

こんなもの持ち帰って、いったい何に使うのだろう。
お持ち帰りの場合は軽減税率適用なのだろうか。(そんな訳はない)

これから親不知を抜く予定のある方は、心して臨んでください

設計 カミダイ

 

 

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